AWSにおける生成AIアプリ開発を学ぶには最適の入門書「Amazon Bedrock 生成AIアプリ開発入門」
こんにちは、つくぼし(tsukuboshi0755)です!
生成AIという技術がさらに進化を遂げ、本番利用される事例も増えてきました。
そのような時代の流れに従って、生成AIに関する入門書も続々と増えてきています。
そんな中、現状世界で最も利用されているクラウドであるAWSで提供されているAmazon Bedrockというサービスを用いて、生成AIアプリを構築するにはどうすれば良いか?という所に重点を置いた「Amazon Bedrock 生成AIアプリ開発入門」という本が発売されました。
今回著者であるみのるん(minorun365)さん、moritalous(moritalous)さん、Kumada(hedgehog051)さんに本書をご恵贈頂いたので、紹介させて頂きたいと思います!
本書の概要
想定読者
こちらの本は、ITエンジニアの方を主な対象としつつ、内製開発に入門してみたい非エンジニアの方でも読めるような本になっています。
個人的には以下のようなエンジニアの方にオススメしたいなと思っています。
- AWSは普段使っているものの、生成AIという分野にはあまり触れた事がない方
- 生成AIに触れた事はあるが、実際にAWS上で作る方法について知りたい方
コンテンツ
本書のハンズオンで利用するサンプルコードは、以下のリポジトリで公開されています。
今後コードに不具合が生じた場合もベストエフォートで改修するとの事ですので、実際に生成AI開発に触って確認してみたい方はぜひご活用ください!
また本書が発売された後に発表されたBedrockアップデート情報も補足として記載されており、まさに大盤振る舞いなリポジトリとなっています。
本書の構成
本書は以下のような構成になっています。
- 第1章生成AIの基本と動向
- 第2章Amazon Bedrock入門
- 第3章生成AIアプリの開発手法
- 第4章社内検索文書RAGアプリを作ってみよう
- 第5章便利な自立型エージェントを作ってみよう
- 第6章Bedrockの機能を使いこなそう
- 第7章さまざまなAWSサービスとBedrockを連携しよう
- 第8章生成AIアプリをローコードで開発しよう
- 第9章Bedrock以外の生成AI関連サービスの紹介
- 第10章Bedrockの活用事例
- 第11章お勧めの最新情報のキャッチアップ方法
なお本書にはありませんが、本記事では書評を書きやすくするために、便宜的に各章を以下のセクションにまとめて紹介させて頂きます。
(あくまで個人的にまとめただけのセクションなのでご注意ください)
- 第1~3章 Amazon Bedrockの基本
- 第4~6章 Amazon Bedrockの機能紹介
- 第6~8章 Amazon Bedrockに関連するAWSサービス
- 第10-11章 Amazon Bedrockに関するお役立ち情報
この後、上記の各セクションの特徴について、簡単に紹介していきます。
第1~3章 Amazon Bedrockの基本
このセクションでは、生成AIに関して知っておきたい情報に触れつつ、Amazon Bedrockの基本的な知識について解説されています。
第1章「生成AIの基本と動向」では、以下のような生成AIの基本的な概念について解説されています。
- AIにおける生成AIの位置付け
- 生成AIモデルに関する基礎知識
- 代表的な生成AIサービス
- 生成AIを提供するAPI
本章を読む事で、Amazon Bedrockを知る前に、まず生成AIの基本的な概念について知る事ができます。
第2章「Amazon Bedrock入門」では、以下のようなAmazon Bedrockの概要について解説されています。
- Amazon Bedrockを選ぶ理由
- Bedrockで利用できる各社モデル
特にAmazon Bedrockを選ぶ理由については、他の生成AIサービスと比較する際の参考になるため一読する価値があると思います。
またBedrockのモデルを呼び出すハンズオンも紹介されているので、とりあえずBedrockを触ってみたいという方にもオススメです。
第3章「生成AIアプリの開発手法」では、以下のような生成AIアプリを開発するために知っておきたい概念について解説されています。
- プロンプト
- トークン
- プロンプトエンジニアリング
- 生成AIフレームワーク
また以下のアプリケーションを開発するハンズオンが紹介されています。
- LangChain/Streamlitを用いたチャットアプリ
- Lambdaを用いたサーバレス生成AIアプリ
いわゆる一般的な生成AIチャットボットを、Amazon Bedrockを用いて実装する方法を知りたい方にオススメです。
第4~6章 Amazon Bedrockの機能紹介
このセクションでは、より高度な生成AIアプリを開発したい場合に役立つ、Amazon Bedrockの機能について解説されています。
第4章「社内検索文書RAGアプリを作ってみよう」では、以下のようなRAGに関する概念について解説されています。
- RAG(Retrieval Augmented Generation)の概要
- Knowledge Bases for Amazon Bedrockの概要
- RAG用の検索対象サービス紹介
- AWSにおけるRAGのアーキテクチャ例
- RAGの回答品質向上のためのヒント
- RAGアプリケーションの評価ツール
特にAWSにおけるRAGのアーキテクチャ例については、AWSにおけるRAGアプリの開発に取り組む際にはかなり参考になるのでぜひ読んで欲しいです。
また以下のアプリケーションを開発するハンズオンが紹介されています。
- Knowledge Bases for Amazon Bedrockを用いたRAGアプリケーション
このハンズオンを通して、以下のKnowledge Bases for Amazon Bedrockを用いたアプリケーションの仕組みを体感する事ができます。
参考:Knowledge Bases for Amazon Bedrock の仕組み - Amazon Bedrock
RAGを用いてデータを検索し回答品質を向上させるような生成AIアプリを、AWS上で開発したい方にオススメです。
第5章「便利な自立型エージェントを作ってみよう」では、以下のようなAIエージェントに関する概念について解説されています。
- AIエージェントの概要
- ReActの概要
- Agents for Amazon Bedrockの概要
また以下のアプリケーションを開発するハンズオンが紹介されています。
- LangChainを用いたAIエージェントアプリケーション
- Agents for Amazon Bedrockを用いたAIエージェントアプリケーション
このハンズオンを通して、以下のAgents for Amazon Bedrockを用いたアプリケーションの仕組みを体感する事ができます。
参考:Agents for Amazon Bedrock の仕組み - Amazon Bedrock
AIエージェントを用いてAI自身が行動を選択して実施するような生成AIアプリを、AWS上で開発したい方にオススメです。
第6章「Bedrockの機能を使いこなそう」では、以下のようなAmazon Bedrockにおけるその他の主要機能について解説されています。
- カスタムモデル
- セーフガード
- モデル評価
本章を読む事で、Amazon Bedrockの様々な機能を用いて、さらに高度な生成AIアプリを開発する事ができます。
第6~8章 Amazon Bedrockに関連するAWSサービス
このセクションでは、Amazon Bedrockを用いて生成AIアプリを開発する際に役立つ、関連AWSサービスについて解説されています。
第7章「さまざまなAWSサービスとBedrockを連携しよう」では、以下のようなAmazon Bedrockと組み合わせる事で便利な主要AWSサービスについて解説されています。
- Amazon CloudWatch
- Amazon CloudTrail
- Amazon PrivateLink
- AWS CloudFormation
個人的にAmazon Bedrockは他のAWSサービスと組み合わせる事で最大限の効力を発揮すると思っているので、この章はぜひ読んでほしいです。
特にAmazon PrivateLinkは、以下のような閉域網でAmazon Bedrockを用いる場合には必須レベルのサービスなので、学んでおくと良いと思います。
参考:Use AWS PrivateLink to set up private access to Amazon Bedrock | AWS Machine Learning Blog
第8章「生成AIアプリをローコードで開発しよう」では、以下のような生成AIアプリをローコードで開発する手法について解説されています。
- Step Functionsとは
- プロンプトチェイニング
この章を読むと、以下のようなStep FunctionsとAmazon Bedrockを組み合わせた構成を学ぶ事ができます。
参考:AWS Step Functions と Amazon Bedrock を利用して、生成系 AI アプリケーションを構築する | Amazon Web Services ブログ
また以下のアプリケーションを開発するハンズオンが紹介されています。
- Step Functionsを用いたプロンプトチェイニングアプリケーション
複数回生成AIモデルを呼び出して処理を行うような生成AIアプリを、ローコードで開発したい方にオススメです。
第9章「Bedrock以外の生成AI関連サービスの紹介」では、Amazon Bedrock以外の生成AI関連主要AWSサービスについて解説されています。
- Amazon Q
- PartyRock
- AWS HealthScribe
- Amazon SageMaker
また以下のアプリケーションを開発するハンズオンが紹介されています。
- Amazon Q Businessを用いた生成AIアプリケーション
本章を読む事で、Amazon Bedrock以外の生成AI関連サービスについても知る事ができます。
第10-11章 Amazon Bedrockに関するお役立ち情報
このセクションでは、Amazon Bedrockを活用するために役立つ情報について解説されています。
第10章「Bedrockの活用事例」では、以下の会社に代表されるAmazon Bedrockの活用事例について解説されています。
- KDDIアジャイル開発センター
- Relic
- 富士ソフト
興味深い開発事例が紹介されているので、実際にどのような生成AIアプリの開発事例があるのか知ってみたいという方にオススメです。
なお本筋から外れますが、弊社サイトでも生成AI技術支援事例が公開されているので、本章を読んだ後に他の事例ももっと知りたいという方はご参照頂くと良いかもしれません。
第11章「お勧めの最新情報のキャッチアップ方法」では、以下のようなAmazon Bedrockの最新情報のキャッチアップ方法について解説されています。
- AWS公式コンテンツ
- AWS Japan公式コンテンツ
- 技術コミュニティ
- 情報発信サイト/プラットホーム
本章を読む事で、Amazon Bedrockを今後使いこなしていく上で、日々情報をキャッチアップするために役立つサイトをチェックできます。
最後に
今回は「Amazon Bedrock 生成AIアプリ開発入門」を紹介しました。
実際に私も本書を読んでみた所、以下の点が良かったと感じました。
- 現時点では唯一のAmazon Bedrockに関する日本語解説本
- Amazon Bedrockを中心とした生成AIアプリ開発に関する情報が程よくまとまっているので、初学者にも読みやすい
- ハンズオンで手を動かしながら様々なアプリを構築する事で、AWSで生成AIアプリを開発するノウハウの理解が深まる
この本を一度通して読む事で、AWSにおける生成AIを使ったアプリ開発の概要を掴めるのでオススメです。
AWSを普段触っている方、また生成AIを使ったアプリ開発に興味がある方は、ぜひ一度読んでみてください!
以上、つくぼし(tsukuboshi0755)でした!
P.S.弊社山本紘暉による同書の書評ブログも以下にありますので、気になる方は合わせてご参照ください。